何語?語源について
ペルソナ・ノン・グラータはラテン語が語源です。
- 語源:ラテン語「Persona non grata」
- 構成:Persona(人物)non(否定を表す)grata(好ましい)
- 直訳:「好ましくない人物」「招かれざる客」
- 英語表現:person not welcome
意味
ペルソナ・ノン・グラータは外交用語として以下の意味を持ちます:
- 原義:「好ましからざる人物」「厭わしい人物」「受け入れ難い人物」
- 外交的定義:接受国(受け入れ国)が、外交官を「好ましくない人物」として指定し、その国から離任を求める措置
- 法的根拠:
- 外交関係に関するウィーン条約第9条
- 領事関係に関するウィーン条約第23条
発動の特徴
- 一方的発動:接受国がいつでも一方的に発動可能
- 理由不要:発動理由を提示する義務はない
- 事前通告可能:外交官が到着前でも発動できる
- 強制力:派遣国は対象者を召還または任務終了させる義務がある
過去の主な事例
歴史的な事例
1.ジョージ・ケナン(駐ソ連大使)
- ソ連とナチス・ドイツの類似性を指摘する発言により再入国拒否
2.クルト・ヴァルトハイム(オーストリア大統領)
- 元ナチス将校であったため、アメリカなど多くの国から入国拒否
ウクライナ侵攻関連(2022年〜)
2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、大規模な外交官追放の応酬が発生:
欧米各国によるロシア外交官追放
- アメリカ:12人
- ドイツ:40人
- フランス:35人
- イギリス:23人
- ポーランド:45人
- 日本:8人(2022年4月)
ロシアによる報復措置
- 岸田文雄首相を含む日本政府関係者63人(2022年5月)
- 衆議院議員384人(2022年7月)
- ボリス・ジョンソン英首相を含むイギリス政府関係者13人
最新の事例(2024-2025年)
中国・薛剣駐大阪総領事問題(2025年11月)

- X(旧Twitter)での「汚い首は斬ってやる」との投稿で物議
- 与野党からペルソナ・ノン・グラータ発動を求める声が上がっている
- 過去にも複数回の問題発言を繰り返している 日本経済新聞
その他の2024年事例
- リトアニア:中国代表事務所職員3人を追放(2024年11月)
日本の発動実績
日本政府が過去にペルソナ・ノン・グラータを通告した事例は4件:
- 1973年:金大中事件に関与した韓国外交官
- 2006年3月:駐日本国コートジボワール大使館の男性外交官。
- 2006年4月:インド大使館の警備担当男性技能員。
- 2012年6月:ムハンマド・アル・ハバシュ駐日シリア特命全権大使。
まとめ
ペルソナ・ノン・グラータは、ラテン語由来の重要な外交手段であり、国際関係において外交的圧力をかける強力なツールとして機能しています。近年では特に、ロシア・ウクライナ情勢や中国の外交官による問題行動を巡って頻繁に発動されており、国際政治の緊張を示すバロメーターとしても注目されています。


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